合併症について

合併症とは・・ 

合併症とは、手術中・手術後に起こる不測の事態のことです。合併症の起こる確率は器械・薬剤の進歩により格段に少なくなりましたが、絶対に起こらないとはいえません。合併症が起こった場合にも最新の医療技術で対応いたします。

破嚢(はのう)

眼内レンズを支える膜(後嚢)が何らかの原因で手術中に破れることがあります。これを破嚢といいます。破嚢が生じる原因はいろいろありますが、チン小帯という部分が外傷などでもともと弱いか白内障がかなり進行している場合がほとんどです。破嚢が起こると手術に少し時間がかかります。また、大きな破嚢が起こった場合には眼内レンズが挿入できない場合もあります。この場合には、後日、眼内レンズを縫い付ける手術を行います。

チン小帯断裂

水晶体を支えている筋肉(チン小帯)が、術前より切れている場合があります。これをチン小帯断裂といいます。チン小帯が大きく切れている場合には、眼内レンズが挿入できない場合があり、これも後日縫い付ける手術が必要となる場合があります。

出血

出血は、眼の表面や傷口に起こります。表面に起こった場合には、手術後に眼が赤くなりますが、視力には全く影響はありません。このような赤みは2週間程度で消失します。また、ごく稀に手術中に強い眼底出血が起こることがあります(駆出性出血)。この出血を止めることは難しく、万一駆出性出血が起こると視力の回復は望めません。このような悪性の出血は患者さんの血圧や動脈硬化、緑内障などの関係があることがわかっています。

グレア・ハロー

眼内レンズの素材は一種のプラチックです。そのため、眼内にはいる光が反射されて、光が長く伸びてまぶしかったり、光源の周囲に輪がかかって見えたりすることがあります。しばらくすると、気にならなくなりますので心配いりません。

グレア・ハロー

グレア・ハロー

術後炎症

手術後、角膜が腫れたり、眼圧があがって、しばらく見えにくい場合があります。医師の指示に従って点眼・内服などしておけば、通常3,4日で回復しますので心配いりません。

後発白内障

手術後、数カ月から数年を経って、眼内レンズを支えている膜(後嚢)が濁り、視力が落ちてくる場合があります。この混濁は、手術に対する生体反応でほぼ100%生じます。この混濁を後発白内障といいますが、程度はさまざまで視力が低下するほどの濁りでなければ問題ありません。混濁が後嚢中央部に及んで視力障害を生じた場合には、レーザー治療で濁った膜を破く処置が必要となります。治療は、外来で短時間で行うことができ、眼帯も生活制限もなく、翌日から視力も回復します。処置後、一時的にもやもやとした濁りが見えることがあります。これは、飛び散らせた後嚢のかけらが眼内に浮遊しているためですが、次第に吸収されて気にならなくなります。また、眼圧が一時的に上昇したり、まれに網膜に病気を起こすことがあるので、レーザー治療後も眼科受診が必要です。